- koujihashioka
離婚協議書の作成業務ついて
最初に書いておきますが、行政書士は弁護士ではありません。なので、紛争事案に関しては受任はもちろん、関わる事もできません。当事者同士で争っている場合はどちらの間にも介入できません。仲裁に入って合意を取り付けることは行政書士の仕事の範疇を超えているのでできませんし、やりません(非弁行為)。そのような事をご希望であれば初めから弁護士にご相談下さい。当事務所が窓口になり受任していただける弁護士の先生を探して紹介させていただくことは可能です。さて、本題に入りますが、様々な生活様式や価値観が混在する現代においては、離婚というのはもはや身近な問題です。私の両親は私が小さい時に離婚しています。当時は離婚家庭が珍しく(35年くらい前でしょうか)、母方に引き取られたのですが、祖父母が昔ながらの考え方で『離婚などとんでもない!恥ずかしいことだ!』といって母が責めたてられていたことを幼いながらに覚えています。そんな時代と比較したらずいぶんと身近になったのではないかと感じます。大きくなってから聞いた話ですが、私の両親は協議では決着がつかず、調停を申し立てて、調停離婚という手続きをとったそうです。最大の争点は親権だったそうですが、当時の調停員の考え方は仕事で忙しく、新しい家族を作ろうとしている父方よりも生母の方が親権者にふさわしいと判断したようですね。少し話がそれましたが、このように調停離婚だと第三者(調停員)が公平な見地で判断して、助言してくれるので、納得がしやすく裁判手続きを経ることなく決着までいけます。ですが、結婚が当事者同士の合意でできるように、離婚も当事者同士の合意で行うことが原理原則です。当ホームページにも書かせていただいていますが、離婚手続きの9割は協議離婚です。夫婦でしっかりと冷静に話し合い、離婚する際のいろいろな条件、離婚した後のことを一方的ではなく合意で決めて、納得して離婚します。ですが、この二人で決めて納得したことをいつまでも相手が守ってくれるとは限りません。口約束で交わしたことであれば『そうだっけ?忘れた』って言われたらどうしますか?約束をした証拠がなければ、そんなものは存在しないと言われてしまえば立証することは難しくなります。基本的に契約条項の履行を促す(約束を守ってもらうように相手に言うこと)際は促す側が立証責任を負います。元は夫婦といえども赤の他人なので、身内ですらお金が絡むと信用できなくなるのに、他人を信用することは非常に危険です。このようなことが起きないようにするための『予防法務』として離婚の際に夫婦で協議して決めた内容を離婚協議書という文書で作成し、公正証書(強制執行認諾文言付き)にすることでどちらかが一方的に約束を破った場合は裁判の確定判決と同じ効力(強制的に約束を守らせる)が発生します。もちろん、約束を守らないのではなく、経済的その他やむを得ない理由で守れないこともあるので、守れなくなるのであれば強制執行になる前に相手に相談し、誠実に対応するべきだとは思います。『予防法務』とは、このように後でもしかしたらモメるかもしれない事をあらかじめ手続きをして可能な限り予防するという考え方だと私は理解しています。考え方は各種保険(生命保険や火災保険等)

と似ていますね。何かあってからでは遅いので何かある前に備えておきましょう。今回は離婚協議書を例にとっていますが、どのようなことでも当事者同士に争いが起きて決着がつかなければ裁判で司法の判断に委ねることになります。裁判には費用と労力、時間がかかるので、可能であれば民事での裁判は避けた方がよいと思います。『予防法務家』として行政書士が活躍できる場はまだまだあるとは思います。このように行政書士をもっと身近に感じていただけたらと思っています。
最後になりますが、離婚というものは決して『恥ずかしいこと』でもないし、『とんでもない』ことでもありません。一人でお悩みの方は必ず誰かに相談してください。それが行政書士でも、弁護士でも、昔からの友人でも、誰でも構いません。一人で抱え込まないように。私の母のように壊れてしまいます。もちろん、私もひとりの人間として、家庭人としてお話をお伺いしますよ。
今回はこの辺で。最後まで読んでくださってありがとうございます!